評伝シャア・アズナブル ―《赤い彗星》の軌跡― 皆川ゆか

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彼は常人よりは上位にありながら、ニュータイプとしては二流という、きわめて中途半端な才能を与えられていたのである。
赤い彗星の異名を与えられた彼の前半生の輝きに比べ、ニュータイプとしての後半生が華やかさに欠けるのは、この見識と才能のギャップを突きつけられたからにほかならない。

シャア・アズナブルの一代記。一代記といっても一年戦争から第二次ネオ・ジオン抗争までを扱っています。アニメ放送終了後20年経っても魅力的なキャラクターとして、知名度と言う意味ではそこらの政治家よりもずっと上。
シャアと言えば、赤と3倍が好きで、誉められるのが大好き。マザコン臭い上にロリコン、なんか生臭いセリフを億面なく吐く、と言うのが一般的なイメージ。これだけ書かれると、なんというか、タダのダメ人間なんですが、それだけではなく皆に愛される何かがある。
多分本書中にある上の一文が全てを表しているのではないか、と思います。ガンダムと邂逅した後のシャアは悩み、苦悩する人物として非常に人間臭く描かれています。そんな人間臭さがいわゆる「天才」のアムロカミーユを押しのける人気を博している理由ではないかと。
第二次ネオ・ジオン抗争以降のシャアの行方は杳として知れない*1。一流の目的を二流の才能で成そうとし、ついに果たす事が叶わなかった男シャア・アズナブル。シャアの生き方は物語としてはハサウェイ・ノアに継がれますが、これの本を読んで我々も彼の生き方と思想を振り返ってみるのも良いかも知れないです。
まとめて読むと結構痛々しいですよ、連戦連敗。それでも諦めない姿勢、というのは学べる気がします。



あれ?
え、これビジネス書?

*1:公式には死亡