World Embryo(2) 森山大輔

ワールドエンブリオ 2 (ヤングキングコミックス)

…何もできねぇってのはくやしいよなぁ。
だから、そうじゃなくなるんだ。
そう誓ったんだ。
オレはそうあろうと誓ったんだよ
        ―武部洋平―

第一部、完! いや、連載終了じゃなくてね。
物凄い物語の繰り方です。文字通り怒涛の展開。巻き込まれ型の物語ならでは、とも言えますが勢いで一気に押し切りました。
前作「クロノクルセイド」でも針の先程の希望を掬い上げる話を見事に描き上げ、ストーリーテラーとして卓越した所を見せ付けて貰いましたが、今作でも如何なく発揮という所。

物語の土台は整った感じです*1。巻き込まれた上に、何もわからぬまま大切なものを失った天海陸。それでも歩き出さなければならない、と言った陸はどこへどうやって歩き出すのか。ひとまずゆっくり話を作っていって欲しい所です。

それしても今巻の最終話(16話)のサブタイトル「そして僕は途方にくれる」は秀逸。大沢誉志幸の歌が元ネタでしょうが、ここでこれを持って来るセンスには脱帽。うしおととらの「おまえは其処で乾いてゆけ」、JOJO第6部「今にも落ちてきそうな空の下で」辺りに匹敵します*2

*1:ヘソまで出して表紙まで飾った影の薄いヒロインことレナの立ち位置もやっとちゃんと決まります(笑 

*2:サブタイの最高峰は機動警察パトレイバー第一話「ザ・ライトスタッフ(あっ軽い人々)」、最終話「THE RIGHT STUFF―正しい資質―」の対だと思う。