僕は天使の羽根を踏まない 大塚英志

僕は天使の羽根を踏まない (徳間デュアル文庫)

ねぇ、ちゃんと大人になれた?
              ―夏目エリス―

魍魎戦記MADARA」という作品を知っているだろうか。
もう15年以上も前に角川のメディアミックスの旗手として一世を風靡した(?)けど
次第に尻すぼみになって何時の間にかメディアの世界から姿を消した作品。


田島昭宇」+「大塚英志」と言えば若い人には「多重人格探偵サイコ」なんだろうけど*1
私のような中途半端な大人にとっては「MADARA」。


「壱*2」「弐」「赤」「青」「転生編」「天使編」などなどコレ関係は枚挙に暇が無いけど
と、いうか大塚作品はバックボーンがみんなMADARAなんだけど
結局本筋がどうなったのが判らなかった。
判らないまま何時の間にか姿を消して、何時の間にか読まなくなって、何時の間にか忘れてたけど
ふと、本屋で見つけて郷愁を感じて買ってしまった。
小人閑居して不善を為す、の典型であるかもしれない。


当時(少なくとも私は)ファンタジーだと思って読んでいた漫画にこういうオチをつけたか、と。
少年少女が大人になる物語として。
結局、物語としては何も解決してないけど
子供が大人になるっていうのもそういうものなのかもしれない。
昨日とは何も変わってないけど、何時の間にか成長して、何時の間にか大人になる。
それでも良いのかも知れないな、とちょっとだけ思った。
もう、そうも言ってられない権利と責任とが私には乗っているのだけれども。


「ちゃんと大人になれた?」15年の時を経ての自分に聞かれた気がする。
本当にそう聞かれたら、頭を掻きながら「あんまり自信ないや」と答えるしかないのだけれども。


表紙イラストの女子高生のマフラーがまるで羽根のように見えるデザインは非常に印象的ですね。


魍魎戦記MADARA Wikipedia
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*1:多分本当に若い人はコレも知らんだろうなぁ。

*2:当時はこう言わなかったけど、便宜的に。