present for F

調子にのって山に登った事に思い当たる節のある
F以外の人は読まなくていいです。



D5の夜


書きかけのD論と ネットばかりしてる俺
パソコンの前でうわの空 届かない夢を見てる
居場所のない研究室の ドクター殴りたい
言葉の裏 皮肉をこめられ 言われれば逃げ場もない
図書館にこもり 背を曲げながら
言葉の一つもわかりあえない 論文たちをにらむ
そして教授たちは今夜 D論の下馬評を立てる
とにかくもう学校や研究所には帰りたくない
自分の研究が何なのかさえわからず震えているD5の夜


盗んだテーマで走り書き 行く先もわからぬまま
暗い実験室のなかへ
誰にも縛られたくないと 逃げ込んだ大学院で
自由を失った気がした D5の夜



冷たい風 冷えた体 人恋しくて
夢見てるマスターの発表を 「ダメだ」と呟き叩き潰す
闇の中ぽつんと光る 学会発表
一晩あれば書ける業績 ひとの論文まる写し
公募の結末もわからないけど
教授と俺は 就職だけずっと夢に見てる
教授たちは D論を書けよ書けよと言うが 俺は嫌なのさ
就職活動が俺達のすべてならば
なんてちっぽけで なんて意味のない なんて無力な D5の夜


盗んだテーマを走り書き 行く先もわからぬまま
暗い研究室の中へ
覚えたての学説ふかし 論文をやっつけながら
仕事を求め続けた D5の夜


盗んだテーマを走り書き 行く先もわからぬまま
暗い実験室の中へ
誰にも縛られたくないと 逃げ込んだ大学院で
自由になれなかった D5の夜